迎える欧州新シーズン、高井はトッテナム、瀬古はル・アーブルへ移籍を決断したが、彼らの状況次第で、代表常連だった谷口が復帰することも、そしてメンバー外に弾き出されることも、両方の可能性が考えられる。
システム変更の煽りを受けたのが、菅原由勢(サウサンプトン)だ。2024年途中までの4バック採用時には右SBのレギュラー格と言える存在になっていたが、システムが3-4-2-1に変更されて以降は、右WBの位置を堂安律、伊東純也らと争うことになり、ベンチを温める日々が続いた。
さらに6月シリーズでは平河悠、森下龍矢がアピールし、E-1選手権で再評価された相馬勇紀は左右両サイドに対応可能だ。
本大会では4バックとの併用も予想されるが、その際には右CBから右SBへスライド可能な人材が適任となる。試合終盤に逃げ切る際には高さのあるCBタイプが重用されるとも考えると、菅原のプレースタイルに合致しない。
タイプ的には関根大輝、橋岡大樹の方が当てはまり、さらにE-1選手権で右WBと右SBの両方に対応した望月ヘンリー海輝にも可能性がある。ムードメーカーとして仲間から愛されている菅原だが、現状は当落線上にいる。
中盤では、23歳の藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)の立場が微妙だ。
主将を務めた2024年のパリ五輪で評価を高め、2024年10月以降はコンスタントにメンバー入りし、遠藤航、守田英正、田中碧に続くボランチとして期待されてきた。しかし、序列を崩せずにピッチに立てない試合が続くと、今年の6月シリーズで代表復帰を果たした佐野海舟が猛アピールしたことで、ボランチの4番手から5番手となった感がある。
その中で今夏、藤田はシントトロイデンからドイツ1部のザンクトパウリへの移籍を決断した。まずは新天地での定位置確保が第一になるが、ベルギーで2シーズンにわたって主力ボランチとして経験を積んだ男ならば、それほどハードルは高くないはずだ。だが、もしレギュラー獲りに失敗すれば、代表メンバー入りの立場も危うくなる。