東海東京インテリジェンス・ラボの池本卓麻マーケットアナリスト
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自民党と公明党が議席を大きく減らした参院選。22日の東京株式市場は日経平均株価が小幅反発でスタートし、一時は4万円台を回復した。午後からは下落に転じ、小幅続落で終わったが、落ち着いた動きを見せた。今後の経済政策の注目点、マーケットの見通しなどについて、東海東京インテリジェンス・ラボの池本卓麻マーケットアナリストに聞いた。

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――参院選の結果を受けたマーケットの反応をどう見ましたか。

 もし自民党が大敗し、石破茂首相が退陣するような事態になっていた場合、債券・円・日本株がそろって売られる「トリプル安」が起こる可能性もありました。しかし、政治体制が大きく揺らぐような結果には至らなかった。選挙の結果はひとまず安心材料として受け止められたと思います。

約10%程度の下落

 自民党は39議席、公明党は8議席を獲得し、与党全体で47議席となりました。石破首相は当初、50議席を目標としていたため、形式的には与党の「敗北」と言えます。ただし、一部の世論調査では、与党は30議席台前半との予測もありました。そのため、結果的には「善戦した」との見方もあるようです。

 過去の参院選を振り返ると、2007年の第一次安倍政権では自民党が27議席を、1998年の橋本政権では16議席をそれぞれ失いました。いずれのケースでも、選挙翌日の株式市場には大きな反応は見られませんでしたが、30日後、50日後、100日後といった中期的な期間では、例えば、TOPIX(東証株価指数)で見ると、いずれの政権も約10%程度の下落が確認されています。

 今回の選挙後も大きな反応はありませんでしたが、今後の政局次第では予断を許さないでしょう。

――選挙後の経済政策や日本銀行の金融政策の見通しは?

 ここからは、経済・金融政策の動きに注目が集まります。政局の運営、日米の関税交渉、7月末から8月にかけて発表される企業決算、日銀の金融政策といった多くの要素が複雑に絡み合っています。

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