日本でドライバーとしての就職が内定し、在留許可証の発行を待つカンボジアの人たちとともに(中央が小林良介さん)=小林さん提供
日本でドライバーとしての就職が内定し、在留許可証の発行を待つカンボジアの人たちとともに(中央が小林良介さん)=小林さん提供
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 20日投開票の参院選で「外国人政策」が論点に浮上している。外国人への対応の厳格化や受け入れ規制などを打ち出す政党も相次いでいる。人口減少と高齢化が加速し、「経済のパイ」が小さくなる日本で、外国人とどう向き合えばいいのか。

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「ドライバー不足は運送業界全体の課題ですが、直近で最も困られているのはバス業界だと思います」

こう話すのは、外国人ドライバーの教育就職支援を行う「外国人ドライバー支援機構」(福岡県大野城市)の小林良介社長だ。

全国で路線廃止や減便が相次ぐバス業界。小林さんのもとには、連日のようにバス会社の切実な声が届く。

「このままだと路線を維持できません」「管理職も運転手として働いています」

路線や便数の復活は無理でも、せめて現状の便数をキープしたい。でないと、地域の公共インフラとしての責務を果たせなくなる。そんな危機感や使命感から外国人材を求めるバス会社が多いという。小林さんは、地方よりも首都圏など都市部のバス会社のほうが外国人ドライバーの獲得に積極的な印象があると打ち明ける。

「都市部のバス会社は数本の減便でも多くの利用者に影響を及ぼします。会社の規模や資本力も大きいため、『50~100人規模の人材をすぐにでも採用したい』という要請をいただきますが、バス運転手に関しては『いつまでに、とはお約束できません』という返事しかできないのが実情です」

バス会社が外国人材を求める背景には、現在の運行サービスを支えている団塊ジュニア世代のドライバーの大量退職が控えていることが挙げられる。さらに、業界にはこんな逆風も吹く。

「若者の車離れが進み、運転好きの人が減っているため、そもそも運転手になりたいという人が大幅に減っています。加えて、社会的責任の大きさの割に給与水準が低かったり、経験を積んでも昇給の幅が抑えられていたりすることも人材確保が難しい要因に挙げられます」(小林さん)

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