自称ひきこもり系コラムニスト小田嶋隆氏の自選コラム集。2006年から14年までの時事問題をするどく読み解いている。
 話題はスポーツから皇室までと幅広い。「嫁いびりとしてのドルジ包囲網」では世間から嫌われがちな朝青龍の人間としての魅力を、彼の問題発言における日本語の巧みさに触れながら語っている。また皇室についてのコラムの見出しは「まさかの坂の雅子様」と奇抜だが、皇太子のファンであるという著者は、皇太子の趣味である登山にふれ、山選びの渋さとその登るスピードの速さに好意を抱いたと語る。その他、自身のアルコール依存症の経験を交えた浦和レッズへの思いも語られている。
 ユーモラスで気どらない文体でありながら、肝心な問題については明晰。氏の筆力に圧倒された。

週刊朝日 2017年1月27日号