本連載の書籍化第6弾!『鴻上尚史の具体的で実行可能!なほがらか人生相談』(朝日新聞出版)
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【鴻上さんの答え】

 360さん。僕は360さんの文章を読んで、なんだか、胸がキュンとしてしまいました。ごめんなさいね。360さんが苦しんでいるのに。

 でもね、「話し下手というわけではなく、A以外とは普通に会話できるのですが、Aとは何を話せばいいのか分かりません」という文章を読んで、「分かる! 私もそう!」と数千万人の人が叫んでいることでしょう。(えっ? そんなにこの相談を読んでないと思う? じゃあ、1千万人にしておきます)
 

 他の人とは普通に話せるのに、特定のある人とだけ、うまく話せないのは、典型的な「好きになってしまったパターン」ですね。

「廊下で会った時などもまともに目も合わせられず、挨拶もせずすれ違うだけ」というのも、「好きになっちまったぜいパターン」ですね。切ないですねえ。キュンとしますねえ。

 僕は恋愛相談に答えるのが大好きなんです。知ってましたか。知りませんよね。いいです。キュンキュンするのが大好きなんです。はい、とにかく、話を進めます。

 360さんの相談は、誰かを好きになった人がぶつかる典型的な問題です。

 Aさんを好きになった。で、Aさんも自分のことを好きになってくれた。この場合は、恋愛関係成立で、交際が始まりますね。これはこれで、次のレベルとして、いろいろとぶつかる問題はあるのですが、とにかく、めでたいことです。

 問題は、自分はAさんを好きなんだが、Aさんは、そんな反応がない、という時ですね。
 

 まず、360さんが書いてる「Aが動くのを待つ方がいいでしょうか?」ということは、あまりお勧めしません。

 Aさんは、このままでは動かないと思います。だって、Aさんに対して、360さんがこれといった「情報」を何もインプットしてないのです。最近はそんなに会話をしてないし、あいさつもろくにしてないし、メッセージもそんなに交換してないのに、Aさんから「話そうか」なんて動くことはありえないと思います。

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