しかし、いまは過去を振り返っている場合ではないし、今回の米国遠征は若手騎手がチャレンジしているような、いわゆる武者修行でもない。14日に渡米後は18日から始まるデルマー開催へ参戦。当面は友人でもあるホセ・バルディビア・ジュニア騎手の自宅に泊めてもらい、その後、新居を探す予定だが、結果を出さなければいけない。
現地では日本人ジョッキーでロサンゼルス近郊のロスアラミトス競馬場の夏季開催でリーディングに輝いた木村和士騎手(25)も参戦。2人は面識はないものの、SNSを通じて食事の約束をしており、木村騎手も「ミルコさんが以前アメリカで乗っていたのは(ウンベルト)リスポリや自分のエージェントのブライアン・ビーチからも聞いていました。これから数カ月、一緒に乗れることを楽しみにしています」と話している。
ミルコによるとアメリカでの騎乗は20年ぶりとのこと。デルマー、サンタアニタ開催は人馬ともにレベルも高く激戦区だが、サンディエゴの乾いた風が若き日々を思い出させてくれるに違いない。
「開催は週に4日。調教にも毎日乗るから忙しくなると思うけど、それぐらいがちょうどいい」
それと10月31日、11月1日には昨年に続いてデルマー競馬場で複数のカテゴリーがある「競馬の祭典」ブリーダーズカップデーが開催される。日本から比較的近い西海岸での開催とあって昨年は日本馬19頭が10レースに大挙出走。クリストフ・ルメール騎手や弟のクリスチャン・デムーロ騎手、武豊騎手、菅原明良騎手らも参戦しており、ここに迎え入れる形でミルコ・デムーロ騎手の名前があることを願わずにいられない。
「新しいチャレンジにワクワクしている」
そのためにも大事な3カ月。実績を積み重ねるしかない。それを実現するには冷静でいながら少しエゴイストで荒々しいミルコの復活がポイントになるような気がする。
まずは怪我のないように。Forza!Mirco!
(文・山本智行)
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