
(武田)自分は浪費家だと山崎さんは書いていました。
(山崎 薫)日頃は理詰めで物事を考えるのに、消費に関しては全く合理的ではありませんでした。
特に好きだったのは家電量販店の福袋です。3万円か5万円くらいの。ヨドバシカメラとビックカメラがお気に入りでした。
整理整頓は下手だから、買うたびに部屋にモノがあふれていく。そのくせ「モノのないすっきりしたホテルみたいな部屋に住みたい」って大まじめに言うんです。「使わないモノを買ってきて狭い部屋をさらにごちゃごちゃにしてるのはあんたやろ」って突っ込みたくなりましたね。
服もやたら高いものを買いたがるんですよ。センスを磨くことをとうの昔に諦めていて、そこはブランドに丸投げしているんです。信託報酬の0.01%にこだわるくせに。(一同、爆笑)
ハイブランドのTシャツを買ったときのことです。1着、数万円もしました。あるとき無印良品で、そのTシャツとそっくりなものがあったので買ってきて、並べてみました。
すると山崎本人が「これ、作っている工場は同じだよね」って。生地も糸も縫製も同じにしか見えません。でも値段は数倍違う。
こうしたとき、山崎はビジネスモデルの違いをおもしろがりはしますが、「損した」などとは露ほども思いません。
「どちらが得かを調べるのは時間と手間の大いなる無駄」だと考えていました。
「いいと思ったら、さっさと買う!」、これが消費における彼の合理性でした。
山崎元の著書2強
(武田)薫さんが一番好きな山崎さんの著書は?
(山崎 薫)山崎が書く本は大別して「投資」「転職」「人生相談」の3分野でした。投資の決定版が『ほったらかし投資術』だとすれば、人生相談では『がんになってわかったお金と人生の本質』(朝日新聞出版)です。
情報の扱い方、保険、時間と仕事、お金とは、幸せとは。これが山崎の最後の本になりました。がんであってもなくても、究極の人生相談の答えが書かれています。