
AERAで連載中の「この人のこの本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。
ヴィンテージマンション界隈で人気の「秀和レジデンス」。だが1974年施工、東京都渋谷区にある「秀和幡ヶ谷レジデンス」は周辺の物件より格段に安く「ヤバい」と知られたマンションだった……。約30年にわたって管理組合を私物化してきた理事たちと住民たちの1200日に及ぶ闘争を描いた渾身のルポルタージュ『ルポ秀和幡ヶ谷レジデンス』。著者の栗田シメイさんに同書にかける思いを聞いた。
【写真】住民たちの“1200日”を追う『ルポ秀和幡ヶ谷レジデンス』はこちら
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東京都渋谷区の一等地にとんでもないマンションがある。そこは通称「渋谷の北朝鮮」──なんとも物騒(?)な文言が帯に躍る本著。だが読んでびっくり。本当に壮大な闘いのドラマと「他人事じゃない!」が詰まったルポなのだ。
「先日会った方にも『TBSの日曜劇場みたいな話だ』って言われました」と笑って話す栗田シメイさん(37)。スポーツや経済記事のほか殺人など事件取材も多くこなすが、硬派で猛者的な印象はなく柔和で聞き上手。どちらかというとサブカルチャー派に属していそうな雰囲気だ。
そんな栗田さんが渋谷区幡ヶ谷の「秀和幡ヶ谷レジデンス」を知ったのは、知人の不動産関係者を通じてだった。
