
いちばんの正統派というポジション
世の中にムーブメントを起こす作品に恵まれるかは運によるところも大きいが、女優としての実績は着実に積み上げている。
たとえば2023年末に公開された水上恒司とのダブル主演映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」は、興行収入45億円を突破する大ヒットを記録。同作で福原は戦時中の日本にタイムスリップし、特攻隊員と恋に落ちる高校生を演じた。現代パートでは親にも学校にも不満を抱えイライラしているが、戦時中の日本では初恋の人を戦地へと送り出す気丈なヒロイン役を表情豊かに好演した。そんな「泣けるラブストーリー」が若者からも支持され、出世作となった。
これまで主演をいくつか経験し、自分が作品を率いるという覚悟も芽生えているようだ。民放ドラマ制作スタッフは言う。
「作品で自分が先頭に立つときは、妥協せずにしっかりと思いを伝えることを心がけていると、過去にインタビューで明かしていました。また、自分がしっかりしていないといけないので、自分の意見を大事にしつつ、みんなと話し合って良い作品を作りたいという気持ちが強いとも語っていました。こうした模範的で優等生的な姿勢は個性の薄さにつながる一方で、頼れる“座長”としては周囲からの信頼も生まれます。ずばぬけた華はなくても同世代の中では“いちばんの正統派”というポジションを築き、誰もが安心して見られる女優として重宝されていくと思います」
芸能ジャーナリストの平田昇二氏は福原にこう期待する。
「今やドラマや映画、CMなど多方面で存在感を放っていますが、まいんちゃん時代は、料理に挑戦するキュートな美少女ぶりが話題となり、番組を楽しみにしている大人の視聴者も多くいました。福原さんは子役としてデビューしているので、年齢のわりに芸歴は長いですが、これまで週刊誌や写真誌などで熱愛や交際を報じられたことはなく、“ノースキャンダル女優”としても知られています。ここは橋本環奈さんや広瀬すずさんと違うところです。また一部で『女優としての色気がない』という意見も見受けられますが、これもノースキャンダル同様、年配層へのウケの良さにつながっているように思います。ただ、演技力はあるのに意外と映画賞やドラマ賞の受賞は少ない。ここを克服すればさらに人気女優への道がひらけてくると思います」
確かな演技力に加え、ノースキャンダルを貫き通すプロ意識もある福原。ここからさらに突き抜ける活躍を期待したい。
(丸山ひろし)
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