「農業機械が高すぎる」と話す、新潟県南魚沼市の米農家・笛木竜也さんとこずえさん=米倉昭仁撮影
「農業機械が高すぎる」と話す、新潟県南魚沼市の米農家・笛木竜也さんとこずえさん=米倉昭仁撮影

ヤフオクで140万円で購入

 竜也さんは、米の収穫量を増やすため、作付面積を増やすことにした。「もう年も年だし、農業機械の調子も悪いから」といった理由で米作りを引退した農家から水田を借り受けた。20ヘクタールに拡大した作付面積に合わせて農業機械も追加購入した。

「今の米作りは、農業機械がないとできないけれど、本当に機械が高くて……」(同)

 所有する主な農業機械は、トラクター3台、田植え機1台、コンバイン3台。

「全部中古です。6条刈りのコンバインは、新品で2000万円くらいする。先日、ヤフオクで中古を見つけて、約140万円で購入しました」(同)

農機を見ると「家が動いてる」

 こずえさんは、こう話す。

「農機メーカーさんから『展示会がありますよ』と誘われても、見に行く気にならない。高すぎて絶対に買えないですから。たまに行くと、『ああ、家が動いている』と思う。それくらい高い」

 産直通販サイト「食べチョク」を運営する株式会社ビビッドガーデンによると、20年以降、生産コストの上昇に苦しむ米農家が増えているという。同社が今年5月に行ったアンケート「米の生産に関する実態調査 第2弾」によると、一番高騰を感じるのは、「農機具価格・修理代」「燃料費・光熱費」で、ともに85.2%(複数回答)。「肥料価格」は77.9%だった。

過去の「農機シェアリース」事業は終了

 笛木さんのような、大規模稲作農家が使用する大型コンバインをレンタル・リースするサービスに前例はある。2017年、JA三井リースは大型コンバインを貸し出す「農機シェアリース」事業を開始した。だが、今年3月末で終了。同社の担当者は事業終了の理由を、こう説明する。

「稲を刈り取る繁忙期は、同じ場所であればどの農家も同じなので、多くの台数を用意する必要がありました」

 できるだけ台数を抑えようと、収穫時期の異なる県単位で地域をまたいで運用した。

米作りにはさまざざまな農業機械が欠かせないが、1台、数百万円はざらだ=米倉昭仁撮影
米作りにはさまざざまな農業機械が欠かせないが、1台、数百万円はざらだ=米倉昭仁撮影
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