日本ハムの達孝太(日刊スポーツ)
日本ハムの達孝太(日刊スポーツ)
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「投手王国」を構築してきた日本ハム。伊藤大海、北山亘基、金村尚真、山崎福也、加藤貴之と能力の高い投手を擁する中、ブレークの瞬間を迎えている若武者がいる。21歳右腕の達孝太だ。

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 天理高校(奈良県)から2021年のドラフト1位で入団して今季が高卒4年目。入団時は線が細かったが、体力作りと並行して技術面のレベルアップを図り、昨年のシーズン終盤にプロ初勝利をマーク。今年はさらなる進化を遂げている。

 肉体強化により体に厚みが増し、身長194センチの長身から投げ下ろす直球は威力十分。フォークとのコンビネーションで好投を続ける。現在6試合登板で5勝0敗、防御率0.64。デビューから無傷の6連勝を飾り、大谷翔平が13~14年に記録したデビュー5連勝の球団記録を塗り替えた。先発だけでのデビューから6連勝はNPB記録だ。

 他球団のスコアラーは、達について次のように分析する。

「直球は150キロ前後と数字だけ見れば早く感じないが、回転数が凄く浮き上がってくるような軌道なのでコンタクトするのが難しい。恵まれた体格に加えて、器用なイメージもあります。フォークもストライクゾーンでカウントを取るチェンジアップのような軌道と、空振りを取る鋭い落差の2種類を投げ分けてくる。スライダーも投げられるので、配球パターンが変わる可能性がある。攻略が難しい投手であることは間違いない」

「すべてのバッター、三振取りにいっている」

 投球と共に話題になっているのが、お立ち台での強気の発言だ。5月30日のロッテ戦(エスコン)で6回2/3を5安打無失点で2勝目を挙げると、「初完封してみたいですね」と宣言。6月29日の西武戦(ベルーナ)で4安打1失点のプロ初完投勝利を飾った際は、「9イニング投げて三振8個しか取れてないのでそこはあまり納得はできないですね。すべてのバッター、三振取りにいっているので、イニングの数ぶんは最低取りたいと思ってるので、ちょっと物足りなかったですね」とサラリ。「もうちょっと(打線に)点を取ってほしかったですけど、何とかしのげて良かった」と笑顔でジョークを飛ばしてスタンドを沸かせた。新庄剛志監督は暑さの厳しいベルーナドームでは完投させない方針だったが、それを振られた達は「完投する気まんまんでしたね」と笑った。

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