看護師時代の石橋さん。仕事は「天職」だったと振り返る。当時からとにかく洋服が好きだったという(写真:本人提供)
看護師時代の石橋さん。仕事は「天職」だったと振り返る。当時からとにかく洋服が好きだったという(写真:本人提供)

 職場に知られるのはよくないだろうと考え、個人情報が特定されないようにサングラスをかけてコーディネートを紹介していました。「身長153・」「アラフォー」というキーワードのせいか、少しずつフォロワーが増えていき、19年9月にはフォロワー数が1万人を超えました。

母の勧めで看護師に

──そのまま看護師の仕事を続けながら発信し続ける選択肢はなかったのですか。

 20歳の時から看護師として働き、結婚して一度辞めましたが、復帰して計約40年間、勤めてきました。私は面倒見がよく、姉御肌で、人と関わるのが好き。だから看護師の仕事は天職だと考えていました。仕事自体が嫌だと思ったことはありません。

 ただ、顔見知りの患者様の死に直面することが増え、つらいなと思うようになりました。長く勤務していると、ずっと通っている人やその家族とどうしても親しくなります。知り合いが亡くなる度に心が折れそうになりました。喪失感でいっぱいの家族に寄り添うことは看護師の使命ですが、その分精神的に疲れます。

 若い頃はそこまで感じなかった終末期看護ですが、老後や死を漠然と意識する年齢になったせいか、とてもつらく感じるようになっていました。老後が現実味を帯びてきた自分を振り返って、私の人生、今のまま終わっていいんだろうか? 人生100年、悔いのない人生にしたい、と初めて真剣に考え始めました。

 思い返すと、看護師は母親から勧められて選んだ職業です。母親が喜ぶならと、深く考えずに進みました。

(構成/ライター・浴野朝香)

AERA 2025年7月7日号より抜粋

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