
阪神を戦力外になり、イースタン・リーグに参加するオイシックス新潟アルビレックスBCで広角に安打を積み重ねているのが、高山俊(32)だ。
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明治大で東京六大学史上最多の131安打をマークした実績を引っ提げ、ドラフト1位で阪神に入団したのが10年前。1年目の16年に当時の球団新人記録を更新する136安打を放って新人王を受賞したが、2年目以降は打撃で試行錯誤した。近本光司、佐藤輝明と後輩の外野手たちが台頭する中で出場機会を減らし、23年限りで戦力外通告を受けて退団。12球団合同トライアウトを受けたが獲得に名乗りを現れる球団はなく、ファームに新規参入したオイシックスで昨年からプレーしながら、NPBへの復帰を目指している。
「阪神の最後のシーズンは1軍で出場機会がなかったですが、ファーム暮らしでも気持ちが折れたと感じたことはありませんでしたね。結果が出なくて悔しい思いはもちろんしていたと思いますが、気持ちを切り替えて室内練習場で打ち込んでいた。オイシックスでプレーしている姿を見るとまだまだ燃え尽きていないと感じますよ。目標であるNPBの舞台に返り咲いてほしいです」(阪神を取材したスポーツ紙記者)
新天地で臨んだ昨年はイースタン・リーグで97試合に出場し、打率.282、3本塁打、35打点。NPBの補強期限となる7月までに復帰が叶うことはなかった。決して悪い数字ではないが、即戦力を求めるNPB球団から見るとインパクトに欠けたのは否めない。今年は53試合出場で打率.302、0本塁打、20打点。打率と出塁率(.392)はいずれもリーグトップで、昨年より四球での出塁も目立つ。初球から仕掛ける積極的な打撃が持ち味だが、際どい球を見逃す選球眼も光っている。
セ・リーグ球団の編成担当は「高山の打撃は見ています。阪神時代は長打を狙おうとして打撃のバランスを崩していた印象がありましたが、今年は本来のシュアなスイングで打球の質がいい。良い感覚を取り戻している手ごたえがあるんじゃないですかね」と評価する。