阪神・佐藤輝明(日刊スポーツ)
阪神・佐藤輝明(日刊スポーツ)
この記事の写真をすべて見る

 V奪回を目指す阪神で、シーズン中に変革があった。5月下旬に佐藤輝明を三塁から右翼にコンバート。プロ1年目に外野を守っていたため戸惑いはないかもしれないが、藤川球児監督の思い切った決断だった。

【写真】周りが動いても阪神の不動のセンターはこの人

「昨年まで佐藤の三塁守備は不安定でしたが、今年は球際に強く送球も安定していました。ゴールデングラブ賞を十分に狙えると思っていただけに、外野へのコンバートは驚きでした。藤川監督は交流戦終了後に、佐藤の守備位置を外野で固定する考えを明言していましたから、よほどのアクシデントがない限り、三塁に戻さないでしょう」

背景に前川の打撃不振

 なぜ、佐藤が外野に回ることになったのか。背景として、開幕から「6番・左翼」で先発起用していた前川右京が打撃不振で5月22日に登録抹消されたことがある。阪神の球団OBが分析する。

「前川は外野の守備で肩が弱かったため、相手球団に次の塁を狙われていた。打撃が魅力の選手なので起用されていましたが、打撃の状態が上がってこないとなると厳しい。センターを守る近本光司は俊足ですが、やはり肩が強いとは言えないので、藤川監督は気がかりだったと思います。右翼を守っていた森下翔太を左翼に回し、佐藤を右翼に配置した。ディフェンスを強化したいという観点で守備位置のテコ入れを図ったのは、決して間違っていない」

 守備に関しては監督によって様々な考え方がある。阪神の矢野燿大元監督は佐藤、大山悠輔を内外野の複数ポジションで起用していた一方、岡田彰布前監督は主力選手を1つのポジションに固定していた。藤川監督の場合はチーム状況を踏まえ、シーズン途中に守備位置を動かす決断をした。

 佐藤が右翼に回ったことで、苦しい立場となったのが前川だ。6月17日に1軍に昇格したが、外野の3枠が埋まっているため代打要員に。定位置を奪い返すためには打撃でアピールするしかない。もう一つの懸念点は、佐藤が右翼に回ったことでレギュラー不在となった三塁だ。新外国人のヘルナンデスがスタメン起用されることが多いが、23試合出場で打率.234、0本塁打、2打点。日本の野球に適応する時間が必要なことを差し引いても、65打席で長打が二塁打3本のみは物足りない。糸原健斗、谷敬宥、高寺望夢なども日替わりで三塁に起用されている。

次のページ 左翼に回った森下の気になるデータ