撮影:馬場岳人(朝日新聞出版写真映像部)
撮影:馬場岳人(朝日新聞出版写真映像部)

 おみおつけの具はそのときどきで違いますが、ジャガイモは必ず入れるようにしています。

 もともとジャガイモ好きだというのもありますが、福島はジャガイモの栽培がとても盛んなので手に入れやすいからです。

 子どものころからジャガイモ入りのおみおつけを食べつけているので、私にとっては、特別な食べ物となっています。

 菜っ葉やダイコン、ニンジン、さらにはワカメ、タマネギなど、そのときどきの気分でジャガイモとの取り合わせを変えては楽しんでいます。

 ちなみにお気に入りのみそは「白虎みそ」です。

 白虎、という名前からおわかりいただけるように、会津のみそメーカーが作っているもので、米麴をつかった米みそです。

 クセがないのに味わい深い白っぽいおみそで、これを使い始めてからはほかのどんなおみそを食べても、あまりおいしいと感じられなくなってしまいました。

 私の味覚に合ったということなのでしょう。日本人にとっておみそってそういうものですよね。いつのまにかお気に入りのおみそが自然と見つかってしまうことはよくありますよね。

 それを示すものとして「手前みそ」という言葉があります。「手前みそですが、この分野に関して私はいささか自信がありまして」というふうに使います。

 自分がその分野に長けているとか、成果に自信があると言いたいときに、あまり露骨にならないように、表現をやわらげるために使う言葉です。

 かつて、おみそは買ってくるものではなく「自分の家で作るもの」でした。

 みそには、それぞれ「わが家の味」があって、食べ慣れた自分の家(=手前)のみそをおいしく感じるのですね。先ほどご紹介した、手前みそという言葉は、「自分のうちのみそが一番だ」と自慢し合ったことから来ています。

 みそが日本人の生活に欠かせないものになっていることを象徴する、素敵な成り立ちを持った言葉だと思いませんか?

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