撮影:馬場岳人(朝日新聞出版写真映像部)
撮影:馬場岳人(朝日新聞出版写真映像部)

 私の場合、ご紹介でお客様が増えていくことが多かったですが、中には骨折で入院したときに同室だったり、退院後、通院するためのバスの中で知り合ったりして、私生活でも長いお付き合いが続いている人もいます。

 どちらもポーラの化粧品が仲介役になってくれました。

 入院したときに友達になった人は、私が朝晩お肌のお手入れをしているのを見て、「ずいぶん熱心にやってるけど、その化粧品、そんなにいいものなの?」と尋ねてきたんです。「すごくいいよ。私、何十年も使ってるんだよ」と言って、使わせてあげたところ、とても気に入ってくれてね。家に行ったり来たりする仲になりました。

 バスの中で知り合った人とは、何回か顔を合わせて挨拶をするようになり、そのうち隣りあわせに座るようになったのがきっかけでした。

「きれいな手をしてるね」と言われたので、「私、こんなハンドクリームを使ってるんだ」とポーラのクリームをバッグから取り出し、相手の人の手につけて軽くマッサージをしてあげたんです。

 そしたらとても喜んでくれて、「このハンドクリーム、私も使ってみたい」と言い、やがていろんな商品を買ってくれるようになりました。

 まさにポーラ化粧品のセールスをすることで、私の人生が豊かに広がったのだと思います。

 生涯の仕事になったのはポーラのセールスですが、今にして思うと、どんな仕事も私自身の肥やしになってくれたなあと感じます。

 新卒で就いた電話局の仕事では、若いうちから監督する立場を経験することができました。ポーラでも一時期私は自分の営業所を持ち、営業所長という立場に就いていたのですが、このとき若いころの経験が役に立ちました。

 女性の多い職場で一番大切なのは、「全員に対して平等に接すること」です。女性は自分がどう扱われているかということにとても敏感なので、「丁寧かつ平等に」が私のモットーだったんです。

 初めからたくさんの売上を上げることができたのは、それほど思い入れのなかった保険のセールスの経験があったからだと思っています。生命保険会社の研修で、初対面の人に話しかけるコツを徹底的に仕込まれたからこそ、化粧品のセールスがうまくいったのでしょう。

 ポーラのお客様との世間話として、内職の話や果樹農家の手伝いの話などもずいぶんしましたが、みなさん関心を持って聞いてくれましたよ。

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