撮影:馬場岳人(朝日新聞出版写真映像部)


 中には「あの人、いつも楽しそうで気に食わない」という人もいるかもしれませんが、ほとんどの人は不機嫌な人よりも上機嫌な人といるほうが気分はいいと思います。

 こと自分のご機嫌を取ることに関して、私は「達人って言ってもいいんじゃないか?」と自負しています。

 おしゃれと手仕事が好きで食いしん坊なので、かわいいものやきれいなものに触れたり手を動かして何かを作り出したり、おいしいものを食べられたりすればそれで幸せなのでね。

 その根底にあるのが「今のことしか考えない」ということにあるように思います。

 先のことなんて誰にもわからないので長期的な目標を持つこともありませんでしたし、起こったことは変えられないので過去のことをいつまでも後悔しないようにしてきました。

「今」がよければそれでよし、というのが私の基本的な考え方です。

 だって厳密に言えば、人には常に「今」しかないからです。過ぎた時間は取り戻せないですよね。

 また、漠然と自分には明日も明後日もあるような気持ちになっていますが、実は一瞬先のことだってわかりません。

 早くに母を亡くしているせいか、若いころから人の寿命というのは決してわからないものだと思って生きてきました。

「今、楽しまなくてどうするの?」が私の根幹にあるのだと思います。

 だからできるだけ機嫌よくしていたいんですね。不機嫌でいるのって、周りの人をハラハラさせもしますが、誰よりも自分が一番苦しいのではないかと思うのです。

 苦しみ続けるなんてとてもできそうにないので、だったら楽しいことを考えて自分で自分のご機嫌を取ってあげよう、というのが私の考え方です。
 

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