
巨人終身名誉監督の長嶋茂雄さんが6月3日に逝去し、愛弟子だった松井秀喜さんが4日早朝、ニューヨークから緊急帰国して弔問に駆けつけた。
【写真】ドラフトで松井秀喜の交渉権を獲得、うれしそうな表情を見せる長嶋監督
次女の三奈さんから「2人きりでお話ししてください」と言われた松井さんは、長嶋さんと対面して、2時間以上の時を過ごしたという。
「本当に私は幸せ者で、長嶋監督といろんな時間を共有させてもらいました。その時その時の思い出はありますけど、やっぱり素振りで会話したといいますかね。素振りを通じて、野球選手としての大事な部分を授けてくださった」と感謝の思いを口にした。
長嶋さんと松井さんは運命の糸で結ばれていたのだろう。ドラフト1位で4球団が競合し、当時巨人の監督だった長嶋さんが抽選で当たりくじを引き当てた。長嶋さんは松井さんの素質にほれ込み、球界を代表する4番に育てるために「1000日計画」を作った。東京ドームのベンチ裏、自宅や遠征先のホテル、ありとあらゆる場所で松井さんに素振りをさせ、マンツーマンで助言を送り続けた。
その後の松井さんの活躍は周知のとおりだ。巨人、ヤンキースの主力選手として活躍し、日米通算507本塁打をマーク。2009年にヤンキースが世界一になったときはワールドシリーズのMVPに輝いた。
「今はお話しできないが、約束は果たしたい」
松井さんが弔問を終えた後、報道陣から「長嶋さんの遺志をどう受け継ぐか」と質問され、次のように語ったことが反響を呼んだ。
「私にたくさんのことを授けてくださいましたので、今後どういう形で次の世代に継承していくか、はっきりとした形は見えませんけど、長嶋監督と生前、約束したこともありますので、ここでは今はお話しすることはできませんけど、その約束は果たしたいと思っています」
長嶋さんと生前に約束したこと――。松井さんが具体的な内容には触れなかったため、各メディアは様々な解釈をした。最も多いのは「巨人の監督への就任」という推測だった。