6月4日のロッテ戦で代打出場し、見逃し三振に倒れたリチャード(日刊スポーツ)
この記事の写真をすべて見る

 巨人が6月4日のロッテ戦で敗れ、交流戦は黒星スタートとなった。前日3日に亡くなった終身名誉監督の長嶋茂雄さんに勝利を届けられなかったのも痛いが、気になるのは快音から遠ざかっているリチャードだ。

【写真】「2億円」が「400万円」に急降下 球史に残る“大減俸”を味わった選手がこちら

 リチャードは2点差を追いかける9回無死一塁の場面に代打で登場。本塁打が出れば同点だったが、見逃し三振に倒れた。1ボールから2球連続で直球を空振りすると、4球目の内角にきた149キロ直球に反応できなかった。これで11打席連続無安打となり、打率.111まで低下。38打席で16三振は多すぎる。

「当たれば飛距離が凄いのでロマンを感じさせますが、バットに当たる確率が低すぎます。打てる球は真ん中付近に抜けた変化球が多く、落ちる球に空振りする。ファームで実戦経験を重ねることも選択肢になると思いますが、阿部慎之助監督は試合の流れを変える1発に期待しているのでしょう。結果が出ない状況でどこまで我慢して起用するのか注目されます」(スポーツ紙デスク)

 4番の岡本和真が左肘靭帯損傷で長期離脱の事態に見舞われ、緊急補強したのが未完の大器・リチャードだった。秋広優人、大江竜聖との交換トレードで5月12日にソフトバンクから移籍。「7番・三塁」で即スタメンに抜擢された翌13日の広島戦は最高のスタートを切った。5回に相手左腕・森翔平から左翼席に移籍後初アーチ。2022年7月13日のオリックス戦以来約3年ぶりの1発を放つと、6回も三遊間を抜ける左前打。延長10回には四球で出塁と申し分ない活躍だった。

 だが、その後は3試合連続スタメン出場で無安打。内野の頭を越えない打球が続く。代打で出場した5月18日の中日戦で、松葉貴広から逆転の2号3ランを代打で放ったが、活躍が持続しない。その後の21打席で安打はわずか1本のみ。打率0割台に落ちる危機を迎えている。

 結果のみならず打席内容が悪く、他の選手なら登録抹消されているだろう。だが、リチャードは1軍でチャンスを与えられている。他球団の打撃コーチは「阿部監督の気持ちは分かりますよ」と理解を示す。

「打撃練習を見てください。引っ張りだけでなく、逆方向の右翼にも凄い打球を放ちますから。スタンドの中段、上段に軽々と放り込む。飛距離だけで言えば、山川穂高(ソフトバンク)より飛ばします。打球を遠くへ飛ばすのは天性の才能です。ウチもトレードで獲得できるなら欲しかったですよ。パワーをつけて飛距離は伸びますが、限度がある。打撃練習を見れば、リチャードに期待したくなるでしょう」

次のページ 独立リーグ監督が指摘する「リチャードに欠けているもの」