ニッセイ基礎研究所・准主任研究員:坊 美生子さん ぼう・みおこ/読売新聞記者を経て、2017年にニッセイ基礎研究所に入社。生活研究部准主任研究員として、中高年女性の雇用と暮らし、高齢者が使いやすい移動サービス、高齢社会のあり方などを研究している(写真:本人提供)

 女性に特化した人材紹介サービス「Waris」は、21年から女性役員の紹介を手掛けていたが、役員より下の管理職層の登用に関しても企業から相談が寄せられ、24年度から管理職や管理職候補の女性人材を紹介するサービス「Warisリーダーズキャリア」(現「Waris転職」)を開始した。登録している転職候補者は30~40代が中心で、子育て中の女性も多いという。

 坊さんは、今の転職市場には女性管理職人材がほしい企業側と、働き方にこだる女性側の双方にとってウィンウィンの関係性があると指摘する。

「ヘッドハンティングを依頼する企業側には、女性管理職を採用するために福利厚生などを充実させてアピールするところが多く、女性側もより柔軟に働くことができ、活躍しやすい職場を求めています。企業の中には、育児中の女性が管理職として働きやすいように、入社後に補佐する人員を配置して迎えるケースや、入社後に女性の意見も聴きながらマネジメントを見直していくケースもあります」(坊さん)

内部で人材を育てる

 女性管理職が働きやすい職場を整備することは、職場全体の働きやすさの向上につながることは間違いない。企業にとっては、次の世代の人材を確保することにもつながるだろう。

 坊さんはこう訴える。

「そもそも現状で企業の女性管理職比率が低い要因として、長時間労働や、在宅勤務ができないなど働き方自体に課題がある場合、仮に外部から管理職のポジションに女性を採用できたとしても、すぐに離職してしまう可能性があります。女性管理職が少ない企業はその要因を分析して対策を考え、いずれは内部でも人材が育つようにしなければ根本的には課題は解決しないでしょう」

 今の50代女性は上の世代のロールモデルが少ない中、逆境にもめげず働き続けた精鋭ともいえる。

 そして、その下の30~40代は子育てをしながらも、いずれ管理職として働く意欲が十分にある。坊さんは言う。

「転職市場に目を向ければ、もっと活躍でき、ストレスなく働ける人は多いと思います。経験豊富なミドルシニアの女性こそ転職に目を向けてほしい」

(編集部・渡辺豪)

AERA 2025年6月9日号より抜粋

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