鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)
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 年を重ねるにつれ、「両親のコピー」になってしまっていると話す26歳女性。喧嘩が絶えなかった両親を嫌悪していたつもりが、夫への態度を振り返ると両親とそっくりだと気付いた女性は自己嫌悪に陥っているという。鴻上尚史が、女性に伝えた「誰かのコピー」をやめる方法とは。

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【相談258】

暴力的な両親に似てきている自分が嫌で仕方ありません(女性 26歳 きこり)

 年を重ねるにつれ、両親に似てきているのを実感して辛いです。

 わたしの両親は非常に仲が悪く、喧嘩が絶えません。些細なことでお互いを大声で罵り合い、父親は物を壊して理不尽に暴れ、母親はヒステリックに泣き叫びます。わたしは幼い頃から幾度となく、その喧嘩を震えながら止めに入り、「次はいつ暴れ出すか」と顔色をうかがいながら生活していました。「自分はこんな大人にだけは、こんな夫婦にはなるまいぞ」と反面教師にしながら生きてきたつもりでした。

 ですが、昨年結婚し、わたしの夫への態度がまるで両親そっくりなことに我ながら絶句しています。嫌味な口調、選ぶ言葉、挙げ句家を飛び出すところまで本当によく似ています。よくここまでコピーできたものだと自分を残念に思います。親戚の、「(顔が)お母さんにそっくりだね!」と言われるのも最近はしんどくなりました。容姿のことだとしても、やっぱりわたしは似ているのか、、、と落ち込んでしまいます。容姿は仕方がないにしても、中身は別人になりたいです。優しい夫といつまでも仲良く、穏やかに過ごしたいのです。一体何から始めれば、両親のコピーをやめられるのでしょうか。

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