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 平均年収を都道府県別で比べてみると、首都圏の一極集中が鮮明だ。第2の都市・大阪でさえ10位となっている。生涯賃金でみると、その差は馬鹿にならない。地域格差はますます広がるのか。

【注目ランキング】男女別も掲載!都道府県別の平均年収はこちら(全5枚)

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 転職サービス「doda」が発表した都道府県別の「平均年収ランキング(2024年版)」によると、平均年収が最も高いのは、やはり東京都(471万円)。前年から16万円上がった。

 doda編集長の桜井貴史さんは言う。

「東京都は金融、情報通信、コンサルティングといった業界が高収益で報酬が高い職種が集中しています。国内企業の本社機能がありハイレイヤーが多く、海外の給与水準のグローバル企業の日本法人もあります。家賃など生活コストが高く、また人材獲得競争が激しいので、企業側が高めの水準で報酬を出す傾向にあります」

 2位は神奈川県(452万円)、3位は千葉県(435万円)、4位は埼玉県(426万円)、5位は茨城県(424万円)と続く。

 トップ5はすべて関東が占める。なんと経済規模2位の大阪府はトップ層ではないのだ。

 国内全体の平均年収は426万円(前年+12万円)だったが、それを上回るのは、関東1都3県だけなのだ。

「東京がリードして関東の平均年収が高くなっています。神奈川県は大手メーカーの研究所が多く、年収水準が高い。例えば、千葉に住んでいる人は、千葉で働くか、東京で働くか選択肢がある。東京の企業に負けないように、千葉の企業も給料を上げなければなりません。東京の年収が上がると、人材獲得競争が激しくなり、首都圏のエリア全体の賃金を押し上げます」

 2017年と比較すると、過去7年で、東京の平均年収は19万円伸びた。

「この7年間の間に、DXやAIといったデジタル領域の専門職の人材のニーズが高まっています。さらにインバウンドの影響で観光客が増えたのが賃金押し上げの要因だと考えます」

 関東に次ぐのは大阪ではない。6位は愛知県(418万円)だ。

「名古屋はトヨタグループを中心とする自動車産業の力が強く、特に技術系職種の年収水準が比較的高め。技能職だけではなく、研究職や設計職も結構多い。ただ、事務系のいわゆるホワイトカラー系は東京ほどウェートが高くないので、6位と低めに出ている。10位の静岡県(407万円)、12位の三重県(404万円)、15位の岐阜県(400万円)も中小企業が支えています」

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