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撮影:馬場岳人(朝日新聞出版写真映像部)

 
 千葉の九十九里に住む妹や神奈川の娘がしょっちゅういろんな食べ物を送ってくれますし、月に一度は隣県に住む娘が夫とともに車で来てくれます。

 事前に「欲しいものある?」と尋ねてくれるので、買い物をお願いしています。

 また、友人やご近所さんが「買い物に行くけど、何かいる?」と声をかけてくれたタイミングで頼んでいます。

 本当にありがたいことです。自分を気にかけてくれる人がいること自体、うれしく思います。

 だから「ありがとう。すごく助かる」など、お礼の言葉は欠かしません。

 その気持ちを表すために、できる範囲でお返しすることも心がけています。

 といっても、いただきもののお菓子やお漬物などの「消えもの」を、「よかったら持って行って」と差し上げるくらいですけれどね。

 先日、友人が自家製の梅干しを届けてくれたときは、その直前に会ったときイワシのゴマ漬けを差し上げたばかりで、あいにく目新しいものが何もありませんでした。

 そこでふと思いついたのが、その日の朝に炊いたばかりのごはんです。

「あげられるものがないので、よかったら白いごはんでも持って行かない?」と尋ねたら、「今朝、残りごはんを食べきっちゃったからすごく助かる!」と言い、喜んで持って帰りました。

「これで今日のお昼と夜のごはんになるわ」なんて言ってね。 

 九十九里に住んでいる妹は、私より13歳年下です。

 母が亡くなったのは私が18歳、妹が5歳のときでした。5歳と言えばまだ親の手が必要な年ごろです。愛情を求める気持ちも強いでしょう。 

 そんな幼さで母親を亡くした妹が不憫でたまらず、できる限りのことをしてあげたいと思いました。何はなくても妹の世話は欠かしませんでした。

 そのことを妹は80年以上たった今でも、昨日のことのように覚えていて、何くれとなくよくしてくれるんです。

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