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撮影:馬場岳人(朝日新聞出版写真映像部)
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「“当たり前”と思わない。それが、人との関係を温かく保つ秘訣です」。年を重ねれば重ねるほど、周囲の人に助けてもらう機会は増えていきます。そんな中で堀野さんが大切にしているのが、「感謝を忘れないこと」。小さな「ありがとう」やちょっとした「お返し」――それが人との関係を長く穏やかに続ける力になるといいます。
 白いごはんをおすそ分けする心、80年以上続く妹との絆。その生き方には、今の時代にこそ学びたい「思いやり”のかたち」がありました。堀野さんの最新刊『102歳、今より元気に美しく』(朝日新聞出版)から一部を抜粋・加筆再編集して公開します。

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――堀野さんが102年生きてきた中で気づいた、人間関係をうまく保つ秘訣は何かありますか。

 私は人様との関係で、一つ注意していることがあります。

 それは、人は「やってもらって当たり前」と思ってしまいやすい生き物だということです。

 誰かに親切にしてもらったら、最初は感激して「なんていい人だろう!」と思いますが、2回3回と繰り返すうちに、「この人はこういう人なんだ」と思い込み、最初に抱いた感謝の気持ちを忘れてしまいます。

 相手の人は厚意でしてくれているのに失礼だし、その行為に感謝できないのは人としてちょっと寂しい気がします。

 だから私は、なるべく「当たり前」と思わないようにしています。

 私の年齢になると、周りの人が気遣ってくれて、できるだけ甘やかそうとしてくれるんですね。

 気持ちはありがたくいただきますし、頼れるところは頼らせてもらっています。

 私の家は町の中心までバスで30分くらいのところにあります。果物屋さん以外のお店が近くにありません。

 車の運転ができないし、自転車にも乗れないので、買い物はどうしても誰かを頼ることになってしまいます。

 現在の私の生活は、周りの人に支えられて成り立っているんです。
 

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