
「コメは買ったことない」発言の江藤拓・農林水産大臣が5月21日朝、石破首相に辞表を提出した。事実上の更迭だった。
【写真】都会育ちが評価された? 農水相に就任した小泉進次郎氏
江藤氏は18日に佐賀市内であった自民党の政治資金パーティーに出席して講演し、
「コメは買ったことありません。支援者の方々がたくさんコメをくださるので、まさに売るほどあります、私の家の食品庫には」
と発言した。
コメの価格が高騰し、備蓄米を放出してもちっとも米価は下がらず、家計を圧迫し続けているときに、その対応を担う農水大臣が「自分はコメをタダでたくさん手に入れてます」と言うのだから、世論や政界から批判が噴き出たのも当然だった。おまけに「食品庫」という言葉は家に蔵でもあるかのように聞こえ、「上級国民」の発言だとネットでも叩かれた。
講演翌日の19日、江藤氏は報道陣に対して、「講演ではちょっとウケを狙った」と釈明した。たしかに江藤氏はこの講演で、ほかにも「ウケ」を狙うような発言をしていた。
最初のあいさつでは、こんな発言。
「私、実は総裁選で一度も『石破茂』と書いたことがございません。にもかかわらず(大臣に)ご指名いただきました」
「石破さんより最近は私のほうがメディアにたたかれてるんじゃないかな」
これで会場から笑いが取れて気を良くしたのだろうか。コメ政策については、次のようにも言っていた。
「コメでえらい目に遭っている」
「コメをもらうのもたいへんなんです。わざとではないだろうが、いろんなものが交っています。ですからうちの嫁がいただいたコメを広げて、黒いやつ、虫とか入っているので、いつも家庭内精米をしたうえで、精米機に持っていく」
コメ価格高騰で庶民が苦しむなか、自分はタダのコメの精米に苦労しているという話では、笑えない。
石破首相は19日に江藤氏に厳重注意をしたものの、続投させる意向を表明している。だが、当然、批判は広がる一方。石破首相は江藤氏の「更迭」に舵を切らざるをえなかった。