
内閣不信任案提出の懸念で急転換?
自民党幹部は石破首相の判断が遅れたことについて、こう話す。
「日本人の主食、コメで国民がこれだけ苦労している。だが、石破首相はわりと軽くとらえてしまい、『コメ不足の対応にあたらせることが大事』などと仕事で取り返せと寛容さをみせた。また、石破首相は党内基盤が弱いので、江藤氏をバッサリ切った時、党内の反発も怖かったと聞く。だが、メディアなどからの批判はさらに大きくなり、こらえきれなかった。石破首相がスパッと更迭すれば、こんな騒動にはならなかった」
さらに、こうも話す。
「これまで、内閣不信任案提出に野党は消極的だった。しかし、江藤氏の大失言で一気に内閣不信任案を出すべきと盛り上がり始めた。立憲民主党がとりわけ前向きと言われ、『コメ買ったことない』発言がきっかけなら野党もまとまり、少数与党なので石破政権崩壊になりかねない。そんな進言を受けて、石破首相も方針を転換し、慌てて江藤氏の更迭に踏み切った」
小泉氏の農林部会長経験がマイナスに?
後任の農水相には、元環境相の小泉進次郎氏の起用が決まった。
昨年の衆院選では、自民党の選対委員長として手腕を振るった小泉氏だが、惨敗して「少数与党」となった責任をとる形で辞任している。
これまで農林水産に長けているイメージはない小泉氏だが、コメ不足という緊急事態に対応できるのか。
自民党の元政務調査役で政治評論家の田村重信氏はこう話す。
「石破首相は防衛族ともいわれるが、農水大臣も経験しており、コメ不足など諸問題にも詳しい。小泉氏も農水関係では目立たないが、実は自民党の農林部会長の経験がある。江藤氏の場合は、2度目の農林水産大臣で宮崎2区の選出なので、どちらかというと業界寄りです。小泉氏は都会育ちなので、同じ農林水産大臣でも消費者目線。そのあたりを石破首相は評価したはずです」
だが、小泉氏が農林部会長だった経験が、逆にマイナスになるかもしれない。国民民主党の玉木雄一郎代表は、小泉氏の農水相起用について、自身のXにさっそくこんな手厳しい投稿をしている。