こうした状況下で、従来ネガティブに捉えられてきた特徴を、逆に“新たな美のかたち”として肯定していこうとする新しい動きが生まれ始めている。
例えば、これまでコンプレックスだった体型も、あるSNS上のユーザーによって「アニメに出てくるあの子に似ていて可愛い!」といったポジティブな意見が出るとする。
すると、それが広く拡散され、従来のコンプレックスが逆にチャームポイントに変わっていく現象が生まれているのだ。以下、この新しい「変換」の潮流について説明する。
事例①立ち耳:「小顔に見える」が新評価基準に
「立ち耳」とは、顔に対して耳が横に張り出しており、正面から見ると耳が大きく目立って見える特徴のことを指す。例えば、読売ジャイアンツで活躍した元投手の江川卓氏や日本でも人気の高い韓国アイドルグループLE SSERAFIMの日本人メンバー、宮脇咲良のような耳の形をイメージするとわかりやすいだろう。
以前は、立ち耳が目立つことを気にして、中には専用の矯正器具で耳の角度を内側に調整したり、耳を後ろに倒す美容整形手術を受けたりする人もいた。
しかし最近では、SNS上で「立ち耳は小顔に見える」と話題になり、逆にチャームポイントとして認識されるようになってきている。立ち耳は耳に立体感があるため、顔の横に視線が向きやすく、「頬周りの余白」が目立ちにくくなる。
また、立った耳の存在感が加わることで相対的に顔のサイズが小さく見えたり、耳の高さや角度によって顔の輪郭がシュッとした逆三角形に近づき、中顔面(目から口の間の部分)が短く見えるように感じられるという効果もあるとされている。