勝利をあげ握手を交わす西武の西口監督(右)と今井投手(日刊スポーツ)
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 西武が強い。40試合を終了して貯金4の2位。首位・日本ハムを1.5ゲーム差で追いかけている。昨年は球団史上ワーストの91敗で借金42と屈辱にまみれる最下位に沈んだことを考えると、生まれ変わったような快進撃だ。(データは4月19日時点)

【写真】今井とともに西武の躍進を支える左のエースはこの選手

 オフの補強で戦力が大幅にアップしたわけではない。オリックスを退団したセデーニョを獲得して4番で期待されたが、16試合出場で打率.189、1本塁打、7打点と打撃不振で4月23日にファーム降格(5月18日に1軍昇格)。昨年10勝をマークして新人王に輝いた武内夏暉も左ひじを負傷して開幕時は不在だった。戦前の下馬評は高くなく、開幕から4連敗を喫した時は暗雲が立ち込めた。だが、その後は4月下旬から5月初旬にかけて6連勝するなど盛り返している。

昨年弱かった1点差試合に大きく勝ち越し

 西武を取材するライターは昨年との違いをこう語る。

「松井稼頭央前監督の時はどのような野球をしたいのか見えてこなかったが、西口文也監督は『守り勝つ野球』というコンセプトが徹底している。実績に縛られず、柔軟な起用法が光ります。昨年まで1軍で実戦登板がなかった山田陽翔をセットアッパーに抜擢したのが象徴的です。今年から就任した鳥越裕介ヘッドコーチ、仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチの存在も大きい。西口監督を含めて3人は2軍監督を務めていた共通点があります。個々の選手の技術を磨くだけでなく、大局的な視点でチームが勝つための作戦、戦略の引き出しを多く持っている。走攻守の質にこだわることで、隙のないチームを作ろうという意図が見えてきます」

 ここまで112得点はリーグ5位で、課題の貧打が解消されているわけではない。だが、強固な守備でローゲームを制する戦い方が徹底している。今年のチーム失策数はリーグ最少の16。二塁・滝澤夏央、遊撃・源田壮亮、中堅・西川愛也が守る強固なセンターラインは高水準で、一塁・ネビンも守備の巧さが光る。昨年は1点差試合に20勝34敗と大きく負け越したが、今年は9勝3敗と競り合いに強い。

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