
天使のはね約7600円、ララちゃん7900円
中古ランドセルの最も大きな市場はフリマアプリだろう。
たとえば、「メルカリ」の昨年のリユースランドセルの取引数は5650件で、14年と比較して、約25倍に伸びている。
価格は、新品を店舗などで購入する場合と比べて数分の1。ブランド別で見ると、「天使のはね」(セイバン)は平均価格約7600円(新品・未使用品を含むすべての商品)。「ふわりぃ」(協和)は同約5800円。「ララちゃん」(羅羅屋)は同約7900円。「土屋鞄(かばん)」(土屋鞄製造所)は同約1万1900円。「フィットちゃん」(ハシモトBaggage)は同約9600円。
名古屋市のように、リサイクルセンターに持ち込まれたランドセルをメルカリで販売する自治体もある。こちらは1個500円程度と、かなり安価だ。
「ブランド・コラボ・ランドセル」など、限定デザインの商品は「子どもがすぐに飽きてしまい、ほとんど使用せずに出品される」ことがある。そのため、質の高いものがかなりお手ごろな価格で購入できるという。

リユースする意識の広がり
10年ほど前は、メルカリで取引される品物は高級バッグのような資産価値のあるものが大半を占めていたという。しかし、次第に日常生活で使用する品物が増えてきた。ランドセルもその一つだという。
リユースランドセルの市場が大きく拡大している要因としては、もちろん新品の価格高騰が挙げられる。
だが、それに加えて、「リユースランドセルを使うことへの抵抗感が薄れている」こともある、とメルカリの担当者は分析する。
見栄を張らず、新品にこだわらない。リユース品を使うことは、限られた資源を大切にすることにもつながる。
「特にミレニアル世代の保護者には、できるだけリユースしていこう、という意識の広がりを感じます」(メルカリの担当者)
確かに、冒頭の譲渡会を取材した際も、譲渡会を訪れた人々の間に「恥ずかしい」「みじめだ」といったネガティブな空気は微塵も感じなかった。子どもたちはうれしそうにランドセルを抱えていた。