オリオールズで好投を続ける菅野智之(AP/アフロ)
オリオールズで好投を続ける菅野智之(AP/アフロ)
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 オリオールズの35歳右腕・菅野智之の評価が高騰している。メジャー挑戦1年目の今季は7試合登板で3勝2敗、防御率3.00をマーク(5月8日現在)。ア・リーグ東地区の最下位に低迷し、先発陣のチーム防御率がリーグワーストの5.50と崩壊状態のチームの中で奮闘している。

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 メジャーではシーズン途中の夏場にトレードが活発になる。上位球団がプレーオフを見据えて即戦力を補強する「買い手」となり、下位球団が来季以降に向けてチーム再建を図ろうと主力選手を放出して若手の有望株を獲得する「売り手」に回る。オリオールズは昨年91勝71敗でア・リーグ東部地区の2位と2年連続でプレーオフに進出したが、今季は13勝22敗と低迷中。シーズンがまだ4分の1も消化していない時点で気が早い話かもしれないが、オリオールズが「売り手」となり、菅野を放出する可能性はある。

「オリオールズには若手成長株が多いのですが、昨年15勝をあげたエースのコービン・バーンズがダイヤモンドバックスに移籍した穴を埋められていない。今後の戦いで盛り返していけばプレーオフ進出の可能性はありますが、このまま低迷が続くようだと、菅野を上位球団にトレードで放出するかもしれません」(スポーツ紙のメジャー担当記者)

 35歳とベテランの菅野はオリオールズと単年契約(1300万ドル)のため、トレードで移籍するハードルは低い。メジャーリーガーの代理人を務める関係者は「菅野の一番の魅力はゲームメーク能力です。多彩な変化球を操り、打者を抑える技術的な引き出しが多いので大崩れしない。先発の3、4番手で欲しい球団は多いでしょう」と分析する。

 直球は150キロ前後と決して速くないが、抜群の制球力と老獪な投球術はメジャーで十分に通用している。4月28日のヤンキース戦では5回5安打無失点の好投。得点、打率、ホームラン数でいずれもリーグトップクラスの強力打線を、スイーパーやスプリットで翻弄した。変化球を多投してかわしているわけではなく、直球で内角を果敢に突くなど攻撃的な投球を貫き、メジャー移籍後最多の8三振を奪って3勝目をマークした。今月4日のロイヤルズ戦でも6回4安打2失点の力投。打線の援護がなく2敗目を喫したが、昨季ア・リーグ首位打者に輝いたボビー・ウィットJr.を3打数無安打に抑えるなど丁寧な投球が光った。

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