
昨年は菊池雄星が7月にトレード移籍
菊池雄星(エンゼルス)が昨年シーズン途中の7月にブルージェイズからアストロズにトレード移籍し、プレーオフ進出の原動力になったように、菅野が今後も登板試合で高いパフォーマンスを続ければ、他球団から先発要員でトレード獲得のオファーがかかる可能性が十分に考えられる。
有力な移籍先はどこになるか。メジャーを取材するスポーツ紙記者はこう分析する。
「ナ・リーグ中地区の首位を走るカブスは先発投手が欲しい。ジャスティン・スティールが左肘の手術で長期離脱が決まり、エース格の今永昇太も太腿裏の張りで負傷者リスト入りしました。昨年まで4年連続でプレーオフ進出を逃しており、今年こそはとファンの熱気が凄い。今永、鈴木誠也がいますし、菅野はチームの輪にスムーズに入れるでしょう。ほかでは先発陣が盤石ではないヤンキース、フィリーズ、ガーディアンズ、ジャイアンツも獲得に動く可能性があります」
2年連続ワールドチャンピオンを目指すドジャースはどうだろうか。現状の先発ローテーションは山本由伸、佐々木朗希、ダスティン・メイ、トニー・ゴンソリン、ランドン・ナックの布陣で、昨オフに左足つま先の手術を受けたクレイトン・カーショウが実戦復帰間近となっている。ブレイク・スネル、タイラー・グラスノーが故障から復帰し、大谷翔平も夏場以降にマウンドに戻ってくることを考えれば、「菅野獲り」に動くことは考えづらい。だが、これはあくまで現段階の話だ。これから先発陣に故障者が続出する事態になれば、経験豊富な右腕の獲得を検討する余地は十分にあり得る。
菅野は高度な投球技術だけでなく、プレーオフの舞台で期待に応える精神的な強さを備えている。巨人のエースとして長年稼働し、最多勝、最優秀防御率をそれぞれ4度獲得。MVPを3度、沢村賞を2度受賞している。侍ジャパンでも17年のWBCに出場するなど日本球界を代表する投手として活躍してきた。菅野の日本で残した実績を考えれば、メジャーの舞台で見せている快投は驚く結果ではないのかもしれない。
巨人を取材してきたスポーツ紙記者は、期待を込めてこう話す。
「20年オフにポスティングシステムでメジャー挑戦を目指しましたが、コロナ渦だったこともあって思うようなオファーが得られず、巨人に残留しました。本人は相当悔しかったと思います。一度はあきらめかけた夢でしたが、復活してメジャーの舞台で活躍するチャンスをつかんだ執念は凄いとしか言いようがない。大舞台でこそ光り輝く投手です。オリオールズでこのままプレーするか、他球団に移籍するかは不透明ですが、プレーオフで投げている姿を見たいですね」
35歳のオールドルーキーの挑戦は、始まったばかりだ。
(今川秀悟)
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