この数字がどれだけ大変なことか、たとえばオレオレ詐欺の認知件数が6671件(2024年)、万引き検挙件数が約6万2765件(2023年)であることを思えばわかりやすいかもしれない。この国ではストーカー事案が、オレオレ詐欺(認知件数)の3倍、万引き検挙件数の3分の1もあるのだ。そしてオレオレ詐欺を警戒するようにあらゆるメディアが発信し、テレビなどでは万引き取り締まりのドキュメンタリーなどが度々放映されている。そう考えれば、ストーカー事案とは国をあげて取り組まなければいけない大変な事態なのではないだろうか。毎日のように、ストーカー問題を取り上げたっていいくらいのレベルなのではないか。なにしろストーカー規制法が制定された2000年からストーカー事案の件数は、むしろ高めで「安定」してしまっている。
恋愛や結婚が命をかけたリスクになるかもしれない社会。女たちが潜在的に抱えている恐怖心はどのように拭えるのだろうか。男の怒りを丁重に扱い、女の怒りや恐怖を無視するような空気を、徹底的に変えていくためにできることとは。突きつけられている現実はあまりに重たい。