日本ASの若きエース・比嘉もえ(写真提供・日刊スポーツ)
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 マーメイドジャパンのソリストに抜擢された17歳の比嘉もえは、世界水泳選手権(7月、シンガポール)で輝夜姫(かぐやひめ)を演じる。

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 2024年パリ五輪でチーム5位・デュエット8位という成績だったアーティスティックスイミング(AS)日本代表は、2028年ロサンゼルス五輪に向け、新体制でスタートした。新ヘッドコーチ(HC)として、宮川(旧姓立花)美哉氏が就任。選手についても、パリ五輪代表のメンバーは11人中4人のみというフレッシュな顔ぶれで世界選手権に臨む。

 世界選手権でソロ(非五輪種目)を泳ぐ比嘉は、パリ五輪でチーム・デュエット代表を務めた。史上最年少の14歳で日本代表入りした逸材で、ソリストとしても2022年世界ジュニア選手権で優勝した経験がある。身長173センチの恵まれた体躯で、プールサイドに立った瞬間に人目を惹く華やかさを持つ。

 日本選手権(5月3~5日、東京アクアティクスセンター)の最終日、マーメイドジャパンはエキシビションという形で演技を行った。ワールドカップ・カナダ大会に出場した日本代表は前日夜に帰国、時差調整もままならないまま臨んだという。「やっと日本の皆様に見ていただけるチャンスなので、是非出させていただきたい」(宮川HC)という思いからの強行出場だった。

 比嘉が披露したソロ・テクニカルルーティン(TR)のテーマは「輝夜姫~Light of the soul」。桜をあしらった衣装をまとって登場した比嘉は、雅楽師の東儀秀樹氏による曲に合わせて泳いだ。竹から早く出たくてうずうずしていた輝夜姫が、中盤で誕生。弾けるように泳ぐが、最後は月と地球への相反する思いに葛藤するというストーリーだ。

 演技後に取材に応じた比嘉は、この演目を大きなプールで泳ぐのは二回目だと説明。初めてソロ(TRのみ)に出場したワールドカップ・カナダ大会では、1位中国、2位スペイン、3位オーストリアに次ぐ4位だった。インタビュアーにハードスケジュールを気遣われ「大丈夫です」と気丈に答えた比嘉は、「ちょっと今日は、体のはまりが良くなくて」と反省した。

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