
最近の話題では、スマホメーカーのシャオミが開発着手から3年で最高性能のEVを出して、バカ売れしている。シャオミは日本でもスマホメーカーとして認知度が高い。
なぜ「小米」という社名にしたのか
ちなみに、シャオミは中国語で「小米」と書く。日本語の「粟」という意味だ(普通のコメは「大米」)。
シャオミの創業者・雷軍氏がなぜ「小米」という社名にしたかについては、諸説あるが、最近の対米貿易戦争との関係でよく引用される説を紹介しよう。
それは、毛沢東が抗日戦争や中国内戦で掲げた「小米加歩槍(粟と歩兵銃)」というスローガンに着想を得たという説だ。中国共産党は粟を食べ、歩兵銃のみで、米国製の軍備で固めた八百万の国民党軍を撃破したという逸話である。
いつかは米国の巨大ハイテク企業、アップルを凌駕しようとの思いを込めて小米と名付けたのではないかというのは頷ける。アップルは、EVのスマホ化を目指して、自動運転EVの開発を進めていたが、結局、諦めた。一方のシャオミは、アップルができなかったEV開発を成し遂げ、スマホとの一体化を実現した。今後はさらに自動運転と家電製品との統合など、まさにアップルができなかった夢に挑戦するわけだ。
「小米加歩槍」の精神は、多くの中国人に引き継がれていて、いざとなれば、米国を相手に戦う覚悟はできているそうだ。
中国のニュースでは、「米国が先に始めた戦争だ。中国は譲歩してはいけない」「望みはしないが、戦う覚悟はできている」などという市民の声を紹介する。対米戦争の覚悟を市民に呼びかけているのだ。
「粟と歩兵銃」というスローガンをトランプ大統領は知らなかっただろう。145%の関税で中国が屈すると考えたのは甘かった。
トランプ氏の岩盤支持層を除き、米国市民には対中国貿易戦争の覚悟などかけらもない。それどころか、反トランプ運動が広がっている。中国とは真逆の風景だ。
トランプ氏は最近少し弱気になっているようだが、それでも中国に屈することはできない。彼のメンツが許さないということだけでなく、岩盤支持層の離反を招くからだ。中国が折れなければ、本意ではなくても突き進むしかない。