写真はイメージです(写真:Getty Images)
この記事の写真をすべて見る

 ゴールデンウィークのこの時期。実家に帰省する家族を取材するテレビ局のクルーに、幼い子どもが「じいじ、ばあばと遊ぶ」などと答える場面をよく目にする。祖父母を「じいじ ばあば」と呼ぶのは、「おじいちゃん おばあちゃん」よりもはや多数派、が多くの人の体感ではないか。しかし一方で、SNSなどでは「じいじ ばあば」という呼び方は「不愉快」「好きじゃない」などのネガティブな反応も散見される。なぜか。「じいじ ばあば」をめぐってあれこれと考えてみた。

【調査】「パパ」「ママ」は恥ずかしい?子どもが親をどう呼ぶか…結果はコチラ

*  *  *

「私は『じいじ ばあば』という呼び方、虫酸(むしず)が走るくらい嫌いです」

 こう話すのは埼玉県の74歳の女性。2000年代に入った頃に初めて聞き、そのときのショックはよく覚えているという。

「気持ち悪い、とまず思いました。『じじい ばばあ』の語順をちょっとかわいくアレンジして、ソフトにしてみました。はい、親しみやすいでしょ?みたいな、あざとさ。それがすごく嫌です。私は絶対に呼ぶことも呼ばせることもありません」

 言葉のおぼつかない小さな子どもが言う分には、まだわからなくもない。女性がとくに嫌なのは、祖父母が自分で自分のことを「じいじ ばあば」と呼ぶケースだ。

「孫に『さあ、ばあばのところにいらっしゃい』とか。関係性として、祖父母は孫との距離が両親より遠いですよね。少し距離を取って愛情を注ぐ関係がいいなと私は思うのですが、『じいじ ばあば』にはその適度な距離感がない。ベッタリした語感ともあいまって不快に感じるんだと思います」

 この「じいじ ばあば」という呼び方、いつ頃から使われ始めたのか。国立国語研究所が2009年3月、無作為に選ばれた全国の803人を対象に行った調査がある。

 調査をうけて書かれた同研究所のサイト「ことば研究館」のコラムでは、「こうした言葉が使われるようになったのは比較的最近」で、04年にNHKで放映された「ジイジ~孫といた夏~」というドラマ(西田敏行主演)に言及、「ドラマの題名に使われるくらいですから、当時もすでにある程度普及していたのでしょう」と記している。

次のページ 『じいじ ばあば』は『パパ ママ』の延長線上にある