楽屋ノリの「太田上田」は若い世代には新鮮?
中京テレビには、ネット上で人気を誇る番組もある。
2015年9月開始の太田光と上田晋也によるトークバラエティー番組「太田上田」は、元は配信サイトBeeTVで、「太田と上田」というタイトルで配信されていた。超大物タレントの二人が楽屋のノリで好き勝手しゃべるという企画。「これはキー局にはできない」と魅力を感じていた中京テレビがBeeTVの後を継ぐ形で、深夜枠で5分間のミニ番組として、地上波デビュー。ローカル放送だったが、当初から配信を通じて全国で見ることもできた。
現在は25分番組に昇格した「太田上田」は、YouTube上の公式チャンネルの登録者数は55万人で、数百万回再生される回もざらだという。
以前は番組プロデューサーを務め、現在はメディア戦略局(編成セクション)で「太田上田」を担当する浅田大道さんは、勝因についてこう分析する。
「YouTube上のトーク動画は、なるべく間を詰めて情報を詰め込むスタイルが非常に多い。一方の太田上田は、天才的なエンターテイナー同士のトークを、その絶妙な“間”もふくめて“そのまま”動画に落とし込むことをポリシーにしている。そのため、若い世代には新鮮に映ったのではないか」
爆上げ状態はドラマでも続く。読売テレビ(大阪市)と共同制作し、日テレ系で放送された昨年夏のドラマ「焼いてるふたり~交際0日 結婚から恋をはじめよう~」は、ピュアすぎるふたりがゆっくりと愛を育てていく様子をグルメを交えて描き、話題に。2024年1月期に中京地区で放送されたドラマ「こんなところで裏切り飯」の第2弾は、25年1月期に日テレ系で全国放送された。

とにかく面白いことをやるDNA
中京テレビという地方局が、異彩を放つ理由はなんなのか。
「オモウマ」のプロデューサーも務めていたコンテンツ制作局の笠井知己制作部長によると、1969年に開局した当時、東海エリアでは後発局で視聴率的にも売り上げ的にも下から始まったという。
「とにかく面白いことをやる。ほかの局がやったことのないことをやる、というDNAがあり、それが引き継がれている」と話す。
当初から全国も意識していたという。実際、同局はこれまでも全国ネットの長寿番組「お笑いマンガ道場」をはじめ、数々の番組を送り出してきた。「キー局とは違って予算も少なければ、人も足らない。常に何か足りないところから発想している」