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 1925年3月22日、NHKの前身である東京放送局が、ラジオ放送を始めた。その後、テレビが大衆化し、様々な文化や社会現象の源泉となった。だが、インターネットの急速な普及やスマホといったデバイスの登場で、テレビ離れは進む。放送100年を迎える中、テレビ局はその姿を変えようとしている。

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 目黒のホテル雅叙園東京の宴会場で行われる番組の収録。出演者が座る背景に、これまで登場した店主たちが描かれた垂れ幕がぶら下がる。MCのヒロミ、進行のお笑い芸人の小峠英二を中心に、ゲストが半円状に並ぶが、番組の主役はスタッフが取材した強烈な個性を持つ飲食店と、その店主らのVTRだ。

 この日、紹介された中華料理店のチャーハンは、サイズが小でも米1合の量。その様子を見ながらヒロミやゲストらが、「安! 多い!」「この値段でやっていけるのかな」などとコメントしていた。

 番組は、名古屋にある中京テレビが制作している「ヒューマングルメンタリー オモウマい店」だ。「オモウマ」は2度の特番が好評で、2021年4月から日本テレビ系で火曜午後7時のゴールデンタイムにレギュラー放送されている。

「オモウマ」が取り上げるのは、お客さんを圧倒的なボリュームの料理や価格以上のサービスでもてなし、店主らが強烈な人柄や人情味を持つ地元密着の飲食店だ。ディレクターら47人が、ネットなども駆使しつつ、全国津々浦々を自らの足で駆け回りリサーチしている。

 取材期間は平均14日。これまで、客にうなぎを焼かせる放置スタイルのうなぎ店や、サービスを断ると「騒ぐんじゃねぇ!」と怒る中華料理店などインパクトがある店が登場した。

 テレビ離れが言われる中でも番組は好調だ。4月29日の放送は平均個人視聴率7.4%、平均世帯視聴率も11.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。岩元佑樹プロデューサーは「番組が続く中で、店主さんといる時間が長くなっていくにつれ、内容自体も、グルメだけではなくて、スタッフとの人間関係や、お店の方の人情が番組に出てくるようになった」と話す。取材を通して、家族のような間柄になり、お店を手伝うこともある。

写真:YUTAKA/アフロ
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