
朱や白、青など色彩豊かに表現されたアヤメと葉が全体に大きく配され、裾には日本庭園の池に架かる石造りの「八つ橋」(やつはし)が描かれる。
桜が終わった4月下旬から5月の端午の節句までは、アヤメやカキツバタ、花菖蒲の開花時期。園遊会の日も、ツツジや藤、カキツバタが赤坂御苑を彩っており、瑶子さまのアヤメの訪問着は、新緑の会場を背景に美しく映えていた。
まさに日本画のような優雅さであった。
今回は、62年ぶりに天皇陛下と皇族方が歩く「お道筋」が変更され、両陛下が歩む従来のルートと、秋篠宮ご夫妻と高円宮妃の久子さまや瑶子さまが歩むルート、そして両陛下の長女の愛子さまと秋篠宮家の次女の佳子さまら「プリンセス」方が歩む3つのルートに分かれた。
赤坂御苑の敷地を広く皇室の方々が歩くことで多くの人びとと交流し、招待者の負担を減らすことが目的だ。
そのため、普段は目にすることのない貴重な場面もあった。

園遊会が始まり1時間以上が過ぎた午後3時過ぎ、赤坂御苑の「中の池」に沿った小道を、色彩豊かな和装の3人の女性皇族方がにこやかな雰囲気で歩んできた。
顔を寄せ合っては、品のよい笑い声を響かせるのは、秋篠宮家の紀子さまと、高円宮妃の久子さま、淡紅藤の訪問着をお召しの瑶子さまだ。
紀子さまが、斜面に咲く紫の小花を指して、「きれいね」といった仕草をみせると、おふたりもにっこり。新緑と季節の花々が咲く敷地を、妃殿下とプリンセスがおしゃべりをしながら散策を楽しまれているかのような光景に、居合わせた招待客の顔もほころんだ。