
ハラスメントに対する意識は社会的に向上しているものの、まだまだ意識の低い個人や組織も存在する。セクハラ被害にあった当事者やその場に居合わせた人が取るべき行動について、ジャーナリスト・白河桃子の見解とは。AERA 2025年4月28日号より。
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最近は社会全体的にハラスメントに関する感度が上がってきていて、当事者の周囲からもコンプライアンス窓口などに情報が入る事例が増えています。セクハラをするタイプは、共感力の無さ、性別役割分業の意識、権威主義が根底にあると言われています。その人たちは、「自分は許されている」と思う場所で言動に及びます。
セクハラにあったら、第三者に助けを求めてください。それが難しかったら、周囲の目を引く行動を取ることも有効です。写真や録音をとっておくと証拠になります。セクハラを目撃した場合、直接介入をする。または第三者に介入を促す、飲み会の場ではわざと飲み物を倒す、後から当事者の人に声をかけてみるなどの行動を起こしてください。
私が今、最も推奨しているのが、この第三者介入、つまり「アクティブ・バイスタンダー」です。周りの人が介入し、声を上げる。今まで日本の社会が変わらなかったのは、「自分には関係ない」「自分はしてないから大丈夫」と、傍観してきた背景があります。同じ仲間であると思っている男性からの指摘は非常に効くので、男性は率先して止めてほしいです。
セクハラをする人の周りにはそれを許す組織や会社が、さらにその周りにはセクハラを許す世界があります。個人的な問題として片付けず、「なぜ起きたのか」まで考える。「イケメンのAさんが言うと許容されるけど、Bさんが言ったらアウト」と、誰が言ったかに依拠せず、小さな悪ふざけも含めて免責状態を作らない、周りが許さない風土を作っていかないといけません。

※AERA 2025年4月28日号より抜粋