
近隣の「赤坂中」に流れている可能性も
港区は学校選択希望制を実施しており、通学区域外の学校も選択することができる。学区域の児童は公立中に進む割合が少なくないのに、青山中に児童が集まらないということは、ほかの区域の中学を選択しているということになる。教委の担当者によれば、同学区域の児童が青山中を選択する割合は17%ほどで、そのほかの区立中に進む割合は21%だという。そしてこう続ける。
「卒業生がどの中学に進んでいるかは追跡できていませんが、青山中学の区域の児童が、同じ区内の赤坂中学に流れているということは可能性として考えられます」
赤坂中は港区が事業費120億円を投じて改築(隣接する中之町幼稚園も含む)し、23年に完成。地上6階、地下1階の新校舎は室内プールに人工芝の校庭など豪華なつくりになっていて、すぐ目の前は東京ミッドタウンという一等地にある。赤坂中は昨年度までの過去5年間で入学者数を倍増させている。
前出の女子児童の母親もこう言う。
「娘の進学先として区立中学を選択肢に入れるなら? 赤坂中が一番に挙がると思います。やはり環境が整った学校で学ばせたいので」
当の青山中はこうした状況をどう捉えているのか。今年4月から青山中の校長に着任した佐々木希久子氏は「青山中を選んだ方が非常に少なかったというのが現実」としながらも、こう話す。
「青山中の学区域には青山小と青南小がありますが、今年の入学者を見てみると区外から来られた2人を除き、17人が区内の8つの小学校から来ています。消去法的に青山中に入学されているのではなく、能動的に区内の進学先の一つとして選んでいただけていると思います」
そして、佐々木校長は「少人数」を逆手に取ったきめ細かな指導が青山中の魅力だと語る。
「生徒数が少ないからこそ、一人ひとりと向き合う時間がつくれますし、誰一人取り残すことのない教育、が実現できると考えています。先生たちの教材研究の時間も十分に取れるなど、少人数であることのメリットもあるんです。施設の充実を重視するのであれば、たとえば赤坂中を選択されるでしょうし、少人数教育を望まれる場合は青山中を選択するといったように、各中学がそれぞれに異なる特徴を持っているんです」