炭本伸子さん(右)、炭本貴司さん(撮影:楠本 涼)

妻 炭本伸子[48]茶農家 炭本家/寺子屋やぎや

すみもと・のぶこ◆1976年生まれ、兵庫県明石市育ち。塾講師、10年間の子育て専念期を経て、家業の茶農家を営む。2019年から瓶原で文化交流施設を運営し、22年から「生えてきた芸術祭みかのはら~と」を主催。25年の芸術祭は10月31日~11月3日に開催予定

 やっぱりうちのお茶は美味しいと思うんです。主人が作るお茶を信頼しているし、家族でこぢんまり営むからこそ、生産から飲む人に届けるまですべての流れに関われるのは楽しい。畑の下草取りの大変さも、面白い方に転じようと草を食べてくれるヤギを飼いました。や~ちゃんは大切な家族です。

 私がやりたいことに対して貴司は否定しない。人が集える場を作りたいと伝えた時も、ええんちゃうと受け入れ、古民家の改装も着実に進めてくれて「寺子屋やぎや」ができました。ここでは皆が自分の意見を恐れずに言える、自由な空気を大切にしています。

 私たちは仕事も生活も分け目なく、ずっと一緒にいる。茶農家は大好きだし、場を作るのが自分たちの本分でありたいので、どちらも同じように大事にしています。ぶつからないのは役割が違うからかな。アイデア担当と実現担当、一緒に取り組んでできることがたくさん。お互いの良さを持ち寄って人生を楽しみたいです。

(構成・桝郷春美)

AERA 2025年4月28日号

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