
最近の大きな経済の話題といえば、世界各国・地域に「相互関税」をかけるというアメリカのトランプ大統領の経済政策。方針が打ち出されて株価が下落すると、SNSでは株式投資をしている人から悲鳴が上がり、「NISA」がトレンド入り。株式資産がマイナスになってしまった……という人もいるのではないでしょうか。関税は、私たち個人が直接納める機会は少ないだけに、なじみが薄いものですが、私たちの生活には大きく関係しています。
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そもそも「関税」とは、国がほかの国からの輸入品に対して課す税金のことです。海外からの安価な輸入品の流入を防いで国内産業を保護し、各国との貿易を調整する役割があります。
関税が上がれば、私たちにどんな影響があるのでしょうか。
関税を直接納めているのは、物をほかの国から輸入する企業や個人。私たち一般の消費者は関税分が上乗せされた価格で物を買うことになり、関税の税率が上がればそれだけ物の値段が上がることになります。
税関の資料の目安によると、たとえば日本に輸入されるチーズには22.4~40%、アイスクリームには21~29.8%の関税がかけられています。革靴は30%または1足4300円のうち高いほうが、毛皮のコートの関税率は20%です。
日本が海外の商品にかけている関税を上げれば値段もそれだけ上がり、私たちにとっては買いにくくなるわけです。
関税が上がって影響は
そして今回、話題になっている「相互関税」。貿易相手国が高い関税をかけている場合に、自国も相手国と同等の関税をかける=同じ水準まで引き上げることです。
日本から輸出されたアメリカで関税が上がれば、アメリカで販売される日本の商品の値段も関税分だけ上がります。私たちも最近の物価高が家計に響いていますが、海外の人にとっても商品の値段が上がれば、気軽に買わなくなるでしょう。
そうなれば、アメリカに商品を輸出している企業は売り上げが伸び悩むことになり、業績が落ち込むおそれがあります。勤めている人たちの給与にも影響が出るかもしれません。