昨年のドラフトで明大の宗山塁(中央)の指名権を獲得し、握手を交わす楽天の石井一久シニアディレクター(現GM=左)と森井雅之球団社長(日刊スポーツ)
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 今年のパ・リーグは大混戦の予感が漂う。スタートダッシュに成功してトップを走るのはオリックスだが、日本ハムも2位できっちり上位につけている。本命視されていたソフトバンクは開幕から1勝6敗と出遅れたが、そのあと引き分けを挟んで5連勝と盛り返してきた。昨年球団ワーストの91敗で最下位に沈んだ西武は開幕4連敗を喫したが、その後は粘り強い野球で借金を3に減らし4位。ロッテも借金3の4位で並ぶが、ソフトバンクに開幕3連勝を飾るなど地力はある。(データは4月15日終了時)

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 その中で明るい話題が少ないのが、楽天だ。4月8日~13日に本拠地・楽天モバイルで日本ハム、オリックスとの6連戦で6連敗。現在、借金4で最下位に沈む。先発ローテ入りが期待されたミゲル・ヤフーレ、スペンサー・ハワードの2人の新外国人が故障で離脱したのが誤算で、先発陣が試合を作れないケースが目立っている。だが、敗因はそれだけではない。6連敗中は、すべての試合で2得点以下と打線がつながらなかった。開幕からここまで14試合で計30得点はリーグワースト。オリックスの68得点など、上位3チームがいずれも60得点以上をあげているのと比べると、得点力の差は大きい。

 楽天を取材するスポーツ紙記者は「この状況が想定外とも言えません。昨オフに野手の助っ人外国人を補強しなかった時点で、チームを本気で強くする気があるのか疑問に感じていました。獲得した外国人が結果を残さなかったのと、補強しないのでは意味合いがまったく違います。戦力を考えると他球団との差は明らかです」とため息をつく。

 野手陣の顔ぶれを見ると、小郷裕哉、辰己涼介、小深田大翔、ドラフト1位の宗山塁とチャンスメーカータイプが多い。一方でクリーンアップの陣容は迫力に欠ける。計算できるのは本塁打王や打点王の実績がある浅村栄斗のみだが、二塁から三塁にコンバートされた昨年は打率.253、14本塁打、60打点と精彩を欠き、スタメンを外れる試合があった。34歳とベテランの域に入ってきており、一塁を守る今季も依存はしきれない。

 中日から移籍して3年目の阿部寿樹はパンチ力がある右打者だが、2ケタ本塁打は20年の13本が1度だけ。適性を考えると6、7番に据えるのがベストだろう。野手で唯一の助っ人外国人となるマイケル・フランコはメジャー通算130本塁打の実績を引っさげて23年に入団したが、2年間通算で打率.220、20本塁打、62打点と振るわない。今年も契約延長したが、他球団なら見切りをつけられていてもおかしくない成績だ。打点王、最多安打の実績を持つ島内宏明は昨年打撃不振に陥り、40試合出場のみで本塁打ゼロ。今年も故障を抱え、ファームでも試合に出場していない。左の大砲として期待された安田悠馬は右手のひら下部の疲労骨折で長期離脱している。

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