
AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:姉には来年大学受験を迎える息子がいるのですが、勉強の進度や模試の成績もすべて把握して、アドバイスをしているようです。姉は優しい人で、姉妹仲もいいのですが、受験となると目の色が変わります。中学受験で親子ともに疲弊した姿を見た私としては「干渉しすぎは良くない」と伝えたいのですが、互いに結婚して20年近くになる今、互いの家庭の話に口出しをするのはよくないのでしょうか?(女性/主婦/47歳/おとめ座)
A:身内へのアドバイスって、すごく難易度が高いですよね。兄弟姉妹でも、結婚して家庭を築けばそれぞれが違うコミュニティーに属しているわけですから。
一般論としては、放っておいてあげたほうがいいのでは、という話になるかと思います。ただ相談文から受け取った印象では、この方はお姉さんのことが大好きで、いいところもたくさん知っていて、なんとか気づいてほしいという一心がある気がしました。
そういう誠実な心を持った人の一言は相手を動かす可能性があります。どんなアドバイスであっても、アドバイスというものは言われた側にとっては「余計なお世話」でしかありません。だって、何らかのリスクと責任を背負ってやっているのはアドバイスされる側のほうだから。
でも、余計なお世話であっても本当に信用しあっている人の一言であれば、響きます。今回もそういうケースかもしれません。
ただ、だからといって思ったことをすべて言ってしまうのはちょっと待ってください。なぜなら、今回に限っては、お姉さん側も受験にすべてをかけている、そんな雰囲気を感じたからです。人生を賭けた戦いに赴く人たちの力を感じました。しかも、最後の力を振り絞って戦っている。
だから、生半可なことは言えないな、というのも実感としてあります。
じゃあどうすればいいのかなんですが、僕だったら「頑張ってるね」とか「無理しないでね」の一言ぐらいにしておくと思います。
言われる側にしてみたら、自分が無理していることにもきっと気づいています。そういう時に「いつでも帰ってきていいよ」と言ってくれる人がいると、「やりすぎてるかな。でもここはやりきりたいんだよね」のように自分から話し出すことができます。「お姉ちゃんも大変だね」「私、能天気だからそこまで考えたことなかった」とか、相手が吐露しやすいようにあえて間抜けを演じるのもいいと思います。お姉さんにとっての、故郷で待ってくれている人、自分を許してくれる人、に徹してあげてください。
おとめ座は身内を心配しすぎる面もあります。いろいろ見えてしまう人たちだし、自分が愛している対象を、気遣って、心配して、いたたまれない気持ちになってしまうことがあります。干渉したくなったり、どうしても一言言ってあげたくなったりした時に「放っておく」ことも、おとめ座にとっての人生修業の一つです。
※AERA 2025年4月21日号