
「かなり苦しい受験だった」
受験のプロとして多くの子どもたちを志望校合格へと導いてきた、教育家で「見守る子育て研究所」所長の小川大介さん(52)。この春、一人息子(18)が京都大学医学部に現役合格した。
全国でも有数の進学校、灘高校からの現役合格。順風満帆で、絵に描いたような大学受験の成功例のように思えるが、小川さんは3月10日にXで「実はかなり苦しい受験だった」と吐露している。教育の専門家は「わが子の大学受験」にどう向き合い、何を感じたのか。話を聞いた。
「よく言われる『一日10時間勉強』なんてことはまったくなかったです」
京都大学医学部といえば、東京大学理科Ⅲ類(理Ⅲ)と並んで国内最難関学部。さぞ灘高校では勉強漬けの毎日だったと思いきや、小川さんは淡々とこう話す。
「うちの子は『まったり』という表現がいちばん合う感じ。クラブ活動もそれなりに楽しみながら、学校から帰ったら2、3時間昼寝したり、週末は必ず大好きな競馬のテレビ実況を見たり。呑気に気ままに過ごす高校生活でした」
幼少期から「自分で勉強する」習慣
小川さんは息子が身につける習慣として幼少期の頃から意識していたことがある。「自分で勉強する」ということだ。
「小学2年生以降、基本的に勉強には口出ししていません。息子から相談や質問があれば一緒に考えますが、息子は息子なりのスタイルで勉強していました」
人それぞれ、才能のタイプによって学力を伸ばすやり方がある。それが小川さんの持論だ。息子は小川さんから見ても記憶力が高く、書いて覚えるよりも「見て、眺めて暗記する」ほうに適性があった。
「テストの勉強でもソファに寝転がってプリントを眺めていたり、友だちから届くプリントのスクショをただ見てるだけの時間があったり。それが彼のスタイルなので、やり方を変えさせようとはしませんでした」
灘高校での成績は、「最上位ではないけれど、上位グループ」。進路として京都大学医学部をめざすまでには紆余曲折があったという。