首都圏を中心に相変わらず人気がある中学受験。競争の激しさが増す一方で、親も子も目の前の「受験勉強」に追われがちです。しかし、そうした状況に警鐘を鳴らすのが、4人の子ども全員を東大理三に合格させた佐藤亮子さんと、数多くの受験生を志望校合格へと導いてきた中学受験専門カウンセラー・安浪京子さん。本記事では、2人の共著『中学受験の意義 私たちはこう考えた』から一部を編集し、その“本質的な学び”のヒントをお届けします。
【マンガ】「偏差値の高い学校」への思いを捨てきれなかった母が、「路線変更」を決断して“わかった”こととは(全38枚)子どもの書く力が弱くなっている?
安浪:入試問題が難しくなる一方で今、教え子を見ていて悩ましいのは、塾の授業の板書をきちんととってくる子が本当に少ないことです。結局小学生って、気が向いたところしか写してこないんですよね。
佐藤:そんな横着なことをするんですか。板書は絶対写すものだと思っていました。うちの子どもたちも家では板書のノートを見ながら宿題をしていましたから。
安浪:板書を写さない子は、塾ではなんとなく先生の話を聞いて、家に帰ってきて宿題をやる時はいきなり我流で問題を解くんです。この勉強法がすごく多いです。
佐藤:そうなんですか。それはちょっと問題ですね。
安浪:‟その勉強法じゃダメだ”ってわかっている親なら違うでしょって言えるけれど、たいていの親はそこまで見ていないですしね。
佐藤:親も何がいいかわからない。塾が何も言わないならそれが正しいと思ってしまいますね。
安浪:そもそも最近は書くこと自体に慣れていない子が本当に多いですから、算数だとまともな正方形が書けない子は多いですよ。線がふにゃ〜となっていてまっすぐに引けないし、頂点を閉じていない図形になったりする。
佐藤:そんな世界なんですか。いやあそれはダメですね。
安浪:入試問題は難しくはなっていても、学力は下がっていると指導をしていて感じます。
佐藤:小学校まではとにかく書かないと。先生がしゃべるのを聞いて、理解しながらノートに書かないといけない。
