レッドソックスでの居場所を失いつつある吉田正尚(日刊スポーツ)
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 昨年10月に右肩関節唇の修復手術を受け、実戦復帰を目指しているレッドソックスの吉田正尚だが、置かれた状況は厳しい。

【写真】何度見ても感動的! WBC準決勝メキシコ戦で吉田が放った起死回生の同点3ラン

「リハビリメニューでキャッチボールをしていますが、肩の状態は一進一退です。無理をさせられないですし、外野の守備につくのはまだ時間がかかりそうです。となると指名打者での起用になりますが、指名打者はラファエル・デバースが固定されている。厳しい言い方をすれば、吉田にレッドソックスで居場所がない状況になっています」(米国の通信員)

 大谷翔平(ドジャース)、鈴木誠也(カブス)の活躍が連日報じられているが、吉田は打撃技術で決して見劣りするわけではない。オリックスで2度の首位打者を獲得するなど、NPB通算打率は.327で大谷、鈴木を上回る。フルスイングでコンタクト能力が高いだけでなく、選球眼もいい。2021、22年と2年連続で最高出塁率に輝いている。23年3月のWBCでは侍ジャパンの4番を務め、準決勝のメキシコ戦で右翼ポール際に起死回生の同点3ランを放つなど、大会新記録の13打点をマーク。同大会の外野手部門でベストナインに選出された。

 22年オフにオリックスからポスティングシステムを利用し、レッドソックスに5年9000万ドル(約141億円)の契約で入団。移籍初年度の23年は140試合出場で打率.289、15本塁打、72打点の成績を残したが、昨年は108試合出場で打率.280、10本塁打、56打点。故障の影響もあったが、打席数は前年から160近く減った。現地で取材するスポーツ紙記者は、こう話す。

「契約の条件を考えると30本塁打は打ってほしいという思いが首脳陣にあるでしょう。日本でのプレースタイルを見ると決してホームランアーティストではないので、期待外れと断じるのは酷かなと感じますが……。あとは出塁率が高くないことも評価が上がらない理由です。日本では毎年4割以上の出塁率でしたが、メジャーでは2年連続で3割5分を切っている。四球が少なく、チャンスメーク役として物足りなさが残る。守備と走塁での貢献度が低いことも、起用法を難しくしています」

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