
「相手の思うままに請求額を支払わなければいいのですが、相談者の中には『怖いので減額してくれるならと支払ってしまった』という方も少なくありません。請求額は何百万円、何千万円といった多額ではないので捻出できなくもない。大企業ほど法律も詳しくない。そういう中小企業をあえて狙うところが悪質だと思います」(高木弁護士)
これが消費者であれば、特定商取引法が適用され、クーリング・オフなどで容易に契約を解消できる余地があるが、事業者の営業用の広告契約の場合はそれが適用されない。請求や督促の電話を無視して支払わないでいるとどうなるか。
「最近は、業者が広告料の支払いを求めて訴訟を起こすケースも増えてきました。そういう場合、我々弁護士に相談をしてくれれば、内容証明を送ったり、(裁判所を変える)移送の申し立てをしたりすることで、あっさりと業者が訴訟を取り下げてくることも多い。私の印象では、業者は『取れるところから取る』というスタンス。手間暇かけてまで執着しない。裁判所が遠方になれば時間も経費もかかりますから、そこまでして訴訟をしようとは思わないのでしょう」(同)
摘発できるかなかなか難しい
それにしても、どうしてこのような悪徳商法はなくならないのか。
「広告ビジネスは許認可事業ではないため、誰でも始められます。彼らのやり口としては、無料期間に解約できるといって、形だけでも解約ができるようにしています。詐欺罪にあたるともいえると思いますが、摘発できるかというとなかなか難しい」(同)
無料求人広告トラブルの被害撲滅を目指し活動をする弁護士が沖縄にいる。当山法律事務所の高良祐之弁護士だ。対策情報を発信するブログを作り、弁護士間では情報共有のためのメーリングリスト(ML)を作成する。MLを始めて6年目、登録者数は延べ800人になる。今や全国の弁護士と繋がっている。高良弁護士にも話を聞いた。