日本弁護士連合会のひまわり相談ネットのHPより

「この手のトラブルは、企業側に自動で有料になる条項を説明せず、舌先三寸でその存在を『見落とさせるだけ』という単純な手口で、しかも元手がかからない。ハローワークのHPにすでに求人を出している会社を狙っているので、『オレオレ詐欺』などと違ってターゲットも見つけやすい。『契約』があれば警察にも捕まらないという考えがある。彼らの会社の商業登記簿を見ると、ここ1~2年で設立されたばかりで、事務所も実態がないバーチャルオフィスが多い。しかも、悪評が立ったらすぐに乗り換えられるように別名の求人サイトを次々と立ち上げたりして活動しています」

 記者も求人サイトを確認してみた。パッと見る限りは普通の求人サイトと何ら変わらずポップなデザインで、コラムありお役立ち情報ありで求人検索もしやすそうな印象を受けた。次々と中小企業を騙している悪徳業者とは思えなかった。掲載されている電話番号に試しにかけてみると、ちゃんと繋がった。

「終始高圧的」

 高良弁護士が言う。

「この会社は昨年設立されたばかりですが、情報共有のMLで弁護士からの最近の被害投稿の数がトップ3に入るほど注目されている悪徳業者です。サイトの見た目はまともですが、知名度が圧倒的に低いので掲載しても求人の効果があったという話は聞きません。被害話だらけです」

 運営する3つのサイトのうち1つがすでに閉鎖されていて、被害者による口コミが膨大に載っていた。読めば、「『モニター掲載期間1カ月無料でできます』と営業の電話があり対応がとても丁寧だったこともあって受けてしまいました」「電話で解約できると言ったのに、書類がないとできない。期限が過ぎているので33万円払えとのこと。電話の担当者も手慣れた人で終始高圧的です」「人手不足で求人募集しているのに余計な手間ひまが……過労で倒れそうです」などと切実な声が記されている。

次のページ よくて半額程度の和解