「彼らは首都圏にいながら、地方のハローワークのHPを見てそこに求人広告を出している会社をターゲットにしています。全国的に被害が多いのは医療関係で特に歯科医院や介護施設。保育園も狙われています。NPOの障害者支援団体もありました」(高良弁護士)

 被害者の中には自治体もある。ただ、自治体が支払いを断ると、それ以上は請求してこないので自治体側の被害の認識は薄いと高良弁護士は言う。しかし、サイトにはその自治体が無料期間中に載せた求人広告が残され続け、それを見た事業者が安心感から騙されやすいという。

「こういった二次被害を防ぐ意味でも自治体には注意していただきたいのです」(同)

 高良弁護士が見てきた最高被害額は200万円超で、掲載1件あたりの被害額の相場は15万~18万円だという。

「例えば、病院の場合などは、看護師や事務員など計3~4つの複数職種の求人を申し込ませるやり方が常のようです。そのため1社あたりの平均総額は50万円台が多い」(同)

 最初から騙すことを目的に接触して相手を誤解させて申し込ませて高額な掲載料を請求する。これを詐欺と言わずしてなんと表現したらよいのだろうか。

もともと騙す前提

「こういった業者は『ウチはまとも』とか『ちゃんと説明している』などと言い張るのですが、それならこんなに苦情があるわけがありません。テレビや新聞で報道されるようになって久しいのに、依然として同じような悪徳商法をしているわけですから『故意に中小企業に誤読させて申し込ませることを狙った詐欺』と言わざるを得ないと考えています」(同)

 実際に裁判では詐欺を認定したり、公序良俗違反等を認定したりして相手の請求を棄却した判決が複数存在しているという。高良弁護士は、こう続ける。

「騙された中小企業のほとんどが、連絡をとれば相手の業者は、何かの勘違いだったことをわかってもらえるはずだと考えています。ところが、もともと騙す前提なので、何を言ってもまともに受けてくれません。『契約書通りだ』『見落としたあなたが悪い』『裁判をしても請求は認められますよ』として中小企業が音を上げるまで高額請求を続けます。よくて半額程度の和解をもちかけるぐらいです」

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